NHNテコラス株式会社
清水 竜一様

2016年10月定例会でご講演をいただきました、NHNテコラス株式会社 おかいもの研究室 UXデザイナー/リサーチャー 清水 竜一 氏にお話をお伺いしました。定例会の詳細はこちら

NHNテコラス株式会社 おかいもの研究室 UXデザイナー/リサーチャー 清水 竜一様
―ユーザーテストを自社でやる場合に必ずおさえておくべき点はありますでしょうか?
清水 竜一氏:
ファーストステップとしては、価値を伝えるための手法としての「コト売り」です。商品の価値をお客様に伝えようとした時、商品名やスペックを伝えるのではなく、その商品を通して「どんないいコトがあるのか」「どんな不満や不便なコトが解決できるのか」を考え伝えていくことです。
※「コト売り」のファーストステップとセカンドステップは、こちらの記事も参考にしてください。
―「モノ」売りから「コト」売りへ取り組む際、ネットショップだとまずはバナーやコンテンツページからになるとは思うのですが、ここから取り組むと効果が出やすいなど、順序やコツなどがあれば教えてください。
清水 竜一氏:
どういうコンテキストを仮定して、何をしてもらうか(タスク)を明確にすることが重要と思っています。
例えば、『1歳のお子さんを幼児教室に入会させようとしているとして、自由に気になるサービスを探してもらいたい』といった、どんな情報や体験を求めているかという観点、『このサイトでカメラをレンタルしようとしているとして、注文手順を進めてもらう』のようなサイトの使い勝手の観点、といったものです。
今回の事例では、下記のような『コンテキスト』と『タスク』を設定しました。
・『親戚からお祝いを頂いた』ので『お返しにお肉を検討している』
・『友達にハワイ旅行に誘われたが必要な服を持っていない』ので『情報収集しようと思っている』

単に「サイトを見てください」では何も発見が得られない可能性が高いです。
実際のユーザーさんは、何のコンテキストもない状況でサービスや商品を探したりしないと考えています。
―今までユーザテストを行って消費者が自由に検索したり、探したときに例えばYahoo!プロモーション広告やモールの画像広告など広告と呼ばれるものに対する反応はどうでしたか?
清水 竜一氏:
それが広告であるとわかっている方の場合は比較的スルーしやすく、あまり分かっていない方(例えば、楽天市場経験での買い物経験がない方)の場合はそこも含めて閲覧している傾向があります。もちろん、クリックするかどうかは掲載内容次第です。 このあたりは、自主調査を進めていき、随時おかいもの研究室ブログにて情報を発信していきたいと考えています。
―清水様がサイトの運営や改善等を行うときに、ユーザーテスト以外で大事にしていることがあればお教え下さい。
清水 竜一氏:
できる限り奇をてらったUI、ユーザーさんがあまり馴染みが無さそうなUIを採用・提案しないように心がけています。
―当イーコマース事業協会は「売上げ向上・技術向上のための勉強、並びに会員相互の会員交流・情報交換を通じて、電子商取引を含む健全なる情報化を社会に普及させることを目的とする」団体でありますが、ご講演を終了してみてのご感想や、定例会の印象などお聞かせいただけると幸いです。
清水 竜一氏:
大変幅広いポジション・フェーズの店舗様がいらっしゃるなと感じました。
例えば、古くからネットショップを運営しており最新ノウハウを積極的に取り込まれている店舗様もいらっしゃれば、これから開店される店舗様などです。 そういった方が集まる中で、今回は「ユーザーテストという手法があるよ」といった幅広いアプローチを取らせていただきましたが、もう少し内容やテーマを具体的に絞ってお話させていただいたほうが理解頂きやすかったかなという印象でした。
また、ECに限らない『ウェブ業界』で使われがちな言葉とのギャップを感じました。 松野様の講演で『コト売り』という言葉が何度も現れましたが、私個人としては『体験』という言葉のほうがしっくりくる印象でした。 ユーザーテストに対する理解を更に深めていただくためには、この辺りの言葉のギャップを意識していくことが必要であると感じました。
最後に、以前は百万円以上のコストがかかってしまう事の多かったユーザーテストですが、現在では圧倒的に安価で、競争の激しいネットショップにおいても簡単に実施できるソリューションが存在します。 まずは積極的に活用し、ノウハウを共有していくことで、ネットショップおける本当に効果的なユーザーテストのやり方を見出していけたらと思っております。
○講演タイトル
「ユーザーテストはこう活用する!『ユーザーさんが知りたいこと、ちゃんと表現できてますか?』」

○講師プロフィール
NHNテコラス株式会社 おかいもの研究室 UXデザイナー/リサーチャー
清水 竜一氏

専門学校ルネサンス・デザイン アカデミーにて3DCGや映像を中心としたデジタルデザインを学び、2005年に有限会社SAVAWAY(当時)に入社。
楽天市場を中心としたECサイトのデザインや商品撮影、運営代行を手掛ける。
2014年からは自社ASPシステムの管理画面設計に携わる中で、ユーザーテストの力を実感する。
2016年現在、ユーザーテストを軸にした情報発信を、オウンドメディアを通じて行っている。


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