竹増 貞信様

2018年4月、イーコマース事業協会16周年記念イベント ネットショップカンファレンス2018にて、「お客様のニーズの変化と、お客様に選ばれる店の条件」をテーマにお話頂いた、株式会社ローソン 代表取締役社長 竹増氏に、今回はebsとして単独インタビューさせていただきました。

※本公演は会員向けの特別講演であり、会員のためにご対応頂いたインタビューになります。
 シェアや拡散、転用等はどうぞご遠慮ください。



―ご講演の中で、ローソンの企業理念が加盟店、店舗スタッフの方々にも根付いていて、震災時には地域の方の安心拠点として地域の方のご支援をしたり、地域のコミュニティとしてお役に立つための行動を自然としてくれているというお話がありました。
大きくなればなるほど、企業理念の共有や実際の行動に移すまでの浸透は難しいと思うのですが、企業理念を共有するためにどのような取り組みをされているのでしょうか?
竹増 貞信氏:
言い続けることです。
「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」という企業理念の元、
地域の方がたの困りごとを解決する、お役に立つことがローソンの役割なんだということを常に伝え続けています。
ローソンがあると安心する、地域コミュニティとしてのコンビニになることを目指しています。
それは、本部社員だけではなく、加盟店オーナーさん、クルーさんをはじめローソングループすべてに、言い続けて、伝え続けています。
コンビニは利便性もそうですが、最後は、人と人とのコミュニケーションですから、
そこを徹底的に言い続けて、やり続けないといけません。
それと、加盟店様にはオープン前に6日間の研修を受けていただいています。
そこでローソンの企業理念、マチを幸せにする、お客様の困りごとを解決することがお仕事だということをしっかり共有させていただいて、共感をいただいてからスタートしていただいています。
やはり、最終的には、言い続けること、やり続けることでしょうね。


―竹増社長は、常に新しいことをとりいれ、変え続けていかないと成長はないと前向きにアグレッシブに進化、変化を取り込んでおられるパワーがみなぎっているように感じます。 需要の流れや世間の変化、ニーズを先取りするために一番大切にしていることは何ですか?
竹増 貞信氏:
とにかく、現場の声を聞きます。
お客様に直接お話しを聞くこともありますね。
加盟店の方5名くらいと食事をすることがあるのですが、
みなさん一生懸命お仕事のお話をされて、イキイキしておられますよ。
後半、お酒が入ってくると、仕事の話からそれていきますけどね(笑)
そこで、今、現場でおこっていることや困りごと、要望なんかも含め、
とにかく色々な話をたくさんお聞きします。
実際、お客様と触れ合っている現場の方はお客様のニーズも敏感に感じ取っていただいていますし、そういうお話を聞いていると、ニーズの変化や需要の傾向など感じ取ることができます。
そういう実際の現場へのアンテナと、もちろん、新聞や雑誌、インターネットなどの情報網もしっかりアンテナを立て、2本のアンテナで情報をキャッチしています。


―少子高齢化が進む中、ローソンが取り組む高齢者の方へのサービスなどはいかがでしょうか。
竹増 貞信氏:
サービスは色々やっていますが、特別、高齢化対策というよりも、
ローソンは元々、地域に密着した地域コミュニティとしてのコンビニとしての存在価値を大切にしてきましたから、今後もそこは大切になります。
以前、ローソンを頻繁にご利用いただいているご高齢者の方にお話しをお聞きしたことがあって、
「平均、何回くらいローソンをご利用いただいているのですか?」
とお聞きしたら、
「3回」
とおっしゃったんですよ。
私は、週3回だと思ったのですが、よくお聞きすると1日に3回だったんです。
1日に3回もローソンにお立ち寄りいただいているわけです。
そういった地域に根付いたコミュニケーションをローソンが担っていくことができる。
また、今後、団塊の世代が後期高齢者になる頃には、ほとんどの高齢者が普通にスマホを使っているようになるわけです。高齢化といってもそのようなことも加味して準備していく必要があります。


―スマホといえば、お客様がスマホで自分で決済をする「ローソンスマホペイ」が導入されましたね。自動レジなどさらに利便性が高まりますが、逆に高齢者の方にとっては、利用しづらいなどの問題はないでしょうか?
竹増 貞信氏:
もちろん、高齢者の多い地域に導入する予定はありません。
ローソンは地域に密着したコンビニですから、そのマチ、地域に合わせてサービス導入もしています。

それに自動レジを導入しているのも、大阪と東京の2店舗のみ、無人レジは東京の2店舗で深夜1時から4時までだけです。

一般に、何かとらえられ方が違ってしまっているかもしれませんが、決して、ガラケーだとローソンを利用できないとかではないんです。

「ローソンスマホペイ」のメリットは、お客様の待ち時間のストレスをなくすことにあります。
忙しい時間の中で、コンビニはすぐ買えて便利なはずなのに、レジ待ちで時間をロスしてしまう。
レジの待ち時間のストレスを解消して、さらに便利にコンビニを利用してもらえるのが「ローソンスマホペイ」です。
欲しい商品を手に取ってレジで待つ必要なく買い物ができる。
朝の急いでいる時間帯や夕方の忙しい時間でも待つことなくすぐ買えるので、買い物の時間短縮が可能となります。


―当イーコマース事業協会は、イーコマース事業者が集まり切磋琢磨している団体なのですが、竹増社長はECをどのようにとらえられていますか?
竹増 貞信氏:
多様な方向でとらえる必要があると思っています。

もちろん、ローソンもインターネットショッピングで品揃えをしていますが、
それだけでECをとらえるのではなく、物流、配送、店頭受け取り、決済など多様な付き合い方ができます。

いつでもすぐに足を運べるコンビニの利便性などコンビニだからできるEC活用というものがあると思っています。

例えば、スマホで、朝欲しいものを予約して、夕方ローソンの店頭で受け取る「ローソンフレッシュピック」(ロピック)がスタートしましたが、忙しい主婦の方にとって、夕方の忙しい時間に買い物をする時間が大幅に短縮できて、しかも新鮮な商品を買うことができます。共働きの忙しいご夫婦でも、ご主人が帰りにコンビニによって商品を取りに行くことができて買い物の時間を他の家事に回すことだってできます。

朝から夜までご利用者の方の生活全般をとおして、ローソンが困りごとを解決することができる。そのように多様な方向でECをとらえていきたいと思っています。


―最後に、当イーコマース事業協会は「売上げ向上・技術向上のための勉強、並びに会員相互の会員交流・情報交換を通じて、電子商取引を含む健全なる情報化を社会に普及させることを目的とする」団体でありますが、ご講演を終了してみてのご感想や、印象などお聞かせいただけると幸いです。
竹増 貞信氏:
みなさん、熱心に聞いて頂いて感謝です。

最後にご質問いただいた方も「ローソンが取り組むSNS戦略は?」というご質問で 非常に具体的でした。

どちらかというとローソンはECからは遠い存在ですが、今日は私の方がたくさんの刺激を頂きました。
今後、リアルのローソンとECがもっと社会をよくしていく、コンビネーションになれればと思います。
今日はお呼び頂き、ありがとうございました。

○講演タイトル
「お客様のニーズの変化と、お客様に選ばれる店の条件」

○講師プロフィール
株式会社ローソン 代表取締役社長
竹増 貞信氏

大阪府池田市出身。
大阪教育大学附属高等学校池田校舎、大阪大学経済学部卒業後、平成5年三菱商事入社、
畜産部に配属。
以降、
2002年    米国 Indiana Packers Corporation 出向
2005年    三菱商事株式会社 広報部
2010年4月   総務部兼経営企画部副社長業務秘書
2010年6月   総務部兼経営企画部社長業務秘書
2014年    株式会社ローソン 代表執行役員副社長
2015年    代表取締役 副社長
2016年    代表取締役 社長 COO
2017年    代表取締役 社長



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