ビーエッグ株式会社
上原 尚也様

2015年5月定例会にて、「EC起業16周年の光と影、そして幸せな未来」をご講演頂きました、ビーエッグ株式会社 代表取締役 上原 尚也氏に、今回はebsとして単独インタビューさせていただきました。定例会の詳細はこちら

ビーエッグ株式会社 代表取締役 上原 尚也様
―ヨーロッパ雑貨のEコマース「キャロン国」を展開、15年もの間、様々な実績を築かれてきた「原点」を教えていただけますか。
上原氏:
前職の米国系保険会社では新商品の開発とマーケティング、販売チャネルの開発を担当していました。このとき、日本で始めての保険のネット販売プロジェクトに関わり、ネットの可能性を直感しました。保険の革命を進める立場でしたが、そんな狭い領域ではなく、生活全般がひっくり返るようなすごい革命が起こると感じてわくわくしました。
もともとチャレンジすることが好きで、40歳代のラストチャンスと決断し、安定生活を捨てて独立しました。ヨーロッパの成熟したライフスタイルを提案する日本に無い商品群や文化を発信していくことを手始めに、自社ブランドの開発、海外企業との連携など、会社名BeEggの由来である「ワクワクを生み出す卵になろう」を理念として事業を進めてきました。
実は、予定外にイタリアにはまってしまって、予定していた事業プランは実現されずに終わったものがほとんどなのですが、いろんな出会いが楽しい16年でしたね。
―ご講演の中で「講演のきっかけはマーケットが成熟、ざわついていることを伝えたい」というお話しがございましたが「ざわつく」とはどのようなことでしょうか?
上原氏:
今のタイミングは、数年周期で回ってくるECの大きな波が来ていると感じています。これは私の16年間のEC経験の中での直感で、危機とチャンスが来てる。だから良くわからないけど、私の中でざわつくものがあるのでしょうね。
大手資本が資金とノウハウを持って、同じ土俵に参入してきている。スマートホンがECに与える影響が急激に拡大している。オムニチャネルなどの販売チャネルの多様化、、、一般に言われている環境の変化はいくつかあります。
で、これは起業目線の話。顧客の立場から見れば、いろんな購入ルートの選択肢が広がり、個々人のベネフィットが多様化し、購買行動が急激に変化している。 だから今までの成功ノウハウだけでは勝ち残っていけない、新しいチャレンジをやらないと、と、 自分自身、わくわくしています。
―インバウンドの増加に伴い、キャロン国、ビーエッグ様にも様々なビジネスチャンスの可能性があると思われますが、具体的な事例や対策をおしえていただけますか?
上原氏:
狭い意味では、当社は実店舗も無いので、今すぐチャンスはありません。
ただ、銀座に事務所があるので、ショウルーミングみたいなことはできると思います。
ただ、私自身はもっと大きくこの流れを捉えています。インバウンド=日本ブランドの相対的価値の増大と、円安による買い易さ。
だから、いろんな国内外の企業とのパートナーシップが組みやすくなっている。こちらのほうに興味があります。
―いままでで「最大の失敗」と「それをどう乗り越えたか」を教えてください。
上原氏:
一から育てたスター店長が上場企業グループに移ったり、楽天店長研修に送り出した優秀な美人店長を楽天社員にさらわれたり(笑)、信じていた取引先に投資資金を持逃げされたり、お金を支払ってもイタリアのメーカーがバッグを送ってこなかったりと、たくさんの失敗は経験しました。しかし、どれも「最大の失敗」とは思わなかったし、そのときその時を一生懸命やってきただけです。今残っている企業は皆そうやって来たのだと思っています。
―ボランティアや音楽などご活躍されている上原さん自身のライフスタイルと、キャロン国のコンセプトは今までも、そしてこれからも通じるものがあるのでしょうか?
上原氏:
会社名BeEggの由来である「ワクワクを生み出す卵になろう」を理念として事業を進めてきたといいました。これは、周りの人を幸せにすると自分も幸せになる、周りをワクワクさせることができれば自分もワクワクする、という私の信念みたいなものがあって、ボランティアや音楽などの活動も同じ考えでやっています。 クリエイティブなことにかかわるのは自分に与えられた使命だと思っていて、歌や音楽で自分の可能性を広げ、周りを幸せにできれば最高の喜びです。いまは自分のライフワークになりつつあります。
―今回の講演には上原さんの「想い」が込められていたと感じましたが、講演をお聴きになった会員様に「実践して欲しいこと」を教えてください。
上原氏:
私から皆さんに教えるというよりも、何か私の経験からヒントになるものがあれば実践して、皆さんが幸せになってほしいと思います。経営は利益が出せないと持続できないから、それぞれの会社なりのしっかりと仕組みが必要です。
お客様の立場で、、とよく言われますが、この視点からいろんなマーケティングのアイデアが生まれてきます。でも、これだけでは利益は生まれません。利益を出すのは、明らかに企業の立場での考え方です。この二つのバランスをとっていくのが良い経営だと思います。
お客様、従業員、取引先、自分の周りのみなさん、そして自分自身と家族、みんなが幸せになるのが私自身の課題でもあります。
―当イーコマース事業協会での講演を終えられて上原さんから見た当会の印象や定例会、情報交換会の雰囲気など、ご感想を教えてください。
上原氏:
皆さん活発で、切磋琢磨しているエネルギーを感じます。組織と役割分担がうまく機能していて頼もしい会ですね。今後とも、皆さんと交流できる機会があればと思います。
―当イーコマース事業協会は「売上げ向上・技術向上のための勉強、並びに会員相互の会員交流・情報交換を通じて、電子商取引を含む健全なる情報化を社会に普及させることを目的とする」団体でありますが、入会間もない会員様、現在入会を検討している事業者様にエールをいただけますでしょうか?
上原氏:
ただ参加するだけではなく、自分から積極的にかかわるようになると、何倍も大きな成果に繋がるはずです。お互い切磋琢磨しましょう。
○講演タイトル
「EC起業16周年の光と影、そして幸せな未来」

○講師プロフィール
ビーエッグ株式会社 代表取締役 上原 尚也

1976年東京大学教育心理学科卒、学生時代、東京キッドブラザーズの俳優として柴田恭平とともにデビュー。
大和証券入社後数ヶ月で退社、だめ社会人の一歩を踏み出す。
大臣秘書としてドブ板選挙戦を経験、台東区の親分にかわいがられる
。 銀座の高級クラブのマスターとして資金管理を任される。
リクルート情報センターを設立。能力開発セミナーと各地青年会議所などで講演。
鬱病とその日のパンが買えない日を経験して、人生リセットのために大型石油タンカーの底でオイルにまみれて肉体労務者として働く。
1980年AIU保険会社に中途入社。能力開発、組織開発、契約企業のコンサル7年。
1989年800億円のファンドマネージャーとしてバブル前後の天国と地獄を経験。
その後マーケティング、商品開発10年。米国のセクハラの概念と防止策を日本に紹介し、セクハラ保険を開発。セクハラ関連法制定について厚労省に講義、情報提供。
保険の日本初ネット販売に参画し、ネット革命を直感。
1999年脱サラ。ネット専業で銀座で起業し、16年目に突入、現在に至る。
ネットショップ キャロン国
楽天市場店;http://www.rakuten.co.jp/diana
ヤフー店;http://store.shopping.yahoo.co.jp/carron/index.html
本店;http://www.carron.jp/site/index.html

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