株式会社キタムラ
逸見 光次郎様

2015年9月定例会にて、「お客さまとリアル店舗をつないで顧客満足を高める、オムニチャネルの実践~カメラのキタムラ 店舗×ECの成長事例~」をご講演頂きました、株式会社キタムラ 執行役員 EC事業部長 逸見 光次郎氏に、今回はebsとして単独インタビューさせていただきました。定例会の詳細はこちら

株式会社キタムラ 執行役員 EC事業部長 逸見 光次郎様
―今回ご講演のテーマである(株)キタムラ様の「オムニチャネル化」のきっかけとなったものは何だったのでしょうか?
逸見氏:
私が入社前からすでに経営陣が、ネット・ECは、全国に直営小型店舗を多数持つキタムラの成長を支えるものとの期待をもって投資していました。
そこに店舗が持つ専門性・ブランドを生かした仕組みとして更に加速する事が出来るのでは?という私の想いを合わせて「人間力EC」を強化しようと取り組みました。
それが結果的に世の中から“オムニチャネル化”と呼ばれるようになりました。
―ご講演の中で「オムニチャネル=人間力EC」とのお話しがありましたがあらためてご説明をいただけますか?
逸見氏:
オムニチャネルとは、単にシステム・IT・デバイスが対応すればいいという訳ではありません。
キタムラとお客さまとのあらゆる接点で“キタムラの人間”が道具としてそれらを活用し、笑顔と専門知識でお客さまを接客・サポートしながら、便利に楽しくお買い物・撮影・修理をして頂くことです。
実店舗、ネットショップ、コールセンター、本部等いずれでも同じ考え方であり、それがキタムラの「人間力EC」です。
―(株)キタムラ様におけるECとお店の役割分担、協力関係について教えて下さい。
逸見氏:
メインはお店です。 お店が開いていない時間や、近くにお店がない場合に、ネットを使ってキタムラの商品・サービスをご利用いただくのがEC事業部の役割です。
また店頭の接客タブレットもEC事業部がサポートしています。
商品は同じバイヤーが仕入れており、「ネットで注文⇒店舗受取」のご注文分の売上は、P/L上は店舗に、ECは関与売上というダブルカウントで評価されるため、社内でECとお店が競合したり、売上・利益を取り合うことはありません。
何よりネットからお店へ送客した方が、「ネットで注文⇒宅配受取」で完結するよりも、会社として大きな利益を生むと考えています。
―逸見様ご自身がさまざまなご経験、ご実績を重ねていらっしゃいますがいままでで「最大の失敗」と「それをどう乗り越えたか」を教えてください。
逸見氏:
失敗は数えられないくらいありますし、思い出すだけで恥ずかしくなるような事もあります。
ただし、当時はわからなくて、それでも必死にやろうとして、結果的に失敗していただけなので、しょうがないかなと思います。
そしてそれを次に生かして成長する限り、実は失敗、ってないのかな、とも思います。
そうした中で一番の失敗をあげるなら、具体的な案件は浮かばず、あえて言うなら、前職までの仕事の仕方だと思います。
あらゆる業務に自分が関わって進めようとするあまり、進捗は遅くなるわ、心身は壊すわ、結果まわりに迷惑はかけるわ、、、という状態でした。
そこでキタムラに来てからは、最初のうちこそ、細かい所まで踏み込んで行きましたが、今では現場業務は部下に任せ、自分は数字の把握と、方向性の明示だけを仕事にしています。
どこでスーパープレイヤーをやめて、事業運営サイドに移るのか。
現場の詳細がわからない恐怖に耐えられるか。
今まさにその自己変革に挑戦している所です。
でも今までの人生の中で、あらゆる業務に踏み込んだ経験と知識が、今の自信にもつながっているので、やはり失敗ではなかったかもしれません(笑)
―現場だけでなく、経営者サイドへの説明などについてもご講演でよくお話をされていたかと感じましたがご経験上、大事なことなのでしょうか?
逸見氏:
どんなに良い施策でも、費用対効果が明確に提示され、経営陣の理解を得られなければ、スタートも継続も出来ません。
その際にも細かい機能やサービス内容の説明ではなく、まず経営上の売上・利益・コストという指標で共有する事が、経営陣及び社内の理解を早める一番の方法と考えます。
―今回の講演には逸見さんの「想い」が込められていたと感じましたが、講演をお聴きになった会員様に「実践して欲しいこと」を教えてください。
逸見氏:
おそらくみなさんが商売を始めたきっかけは、自分が得意な商品・サービスでお客さまに喜んで頂き、その結果として利益を頂戴する、という事だった筈です。
仕組みやシステムも大事ですが、まずは買ってくださった・ご利用いただいたお客さまが本当に喜んでくださるのか、そして次もまた来て下さるのか、その観点で振り返っていただき、規模ではなく、みなさんならではの商品・サービスの専門性をもっと高めて、そこで競争力をつけていただきたいと思います。
仕組みよりも、顧客視点での商品・サービスへのこだわり、が最後まで競争に生き残る力だと思います。
―当イーコマース事業協会での講演を終えられて逸見さんから見た当会の印象や定例会、情報交換会の雰囲気など、ご感想を教えてください。
逸見氏:
非常に熱心で熱い方が多いと思いました。
組織としてきちんと運営されている部分と、会員同士が交流を深めている部分双方があり、非常に素晴らしい協会だと思いました。
―当イーコマース事業協会は「売上げ向上・技術向上のための勉強、並びに会員相互の会員交流・情報交換を通じて、電子商取引を含む健全なる情報化を社会に普及させることを目的とする」団体でありますが、入会間もない会員様、現在入会を検討している事業者様にエールをいただけますでしょうか?
逸見氏:
どうしてもECの事業者は、作業(サイト更新、商品登録、SEO/販促等)に追われて、事務所やPCの前にこもりがちです。
もちろんやるべき作業はしっかりやらなければいけませんが、サービス改善、売上・利益のアップをはかるためには、自分の頭の中を進化させる必要があります。
その為には同業者との意見交換や勉強会がとても重要です。
単発のセミナーだと聴くばかりでなかなか意見交換や疑問の解決まで至りません。
ぜひこうした団体に参加して、定期的に自分の頭の中をレベルアップして、事業を成長させる施策を生み出せるようになりましょう!
○講演タイトル
「お客さまとリアル店舗をつないで顧客満足を高める、オムニチャネルの実践~カメラのキタムラ 店舗×ECの成長事例~」

○講師プロフィール
株式会社キタムラ 執行役員 EC事業部長 逸見 光次郎氏

1970年東京生まれ。学習院大学文学部史学科卒。
1994年 三省堂書店入社。神田本店・成田空港店等勤務。
1999年 ソフトバンク入社。イー・ショッピング・ブックス社(現 セブンネットショッピング社)立ち上げに参画。
2006年 アマゾンジャパン入社。ブックスマーチャンダイザー
2007年 イオン入社。ネットスーパー事業の立ち上げと、イオングループのネット戦略構築を行う。
2011年 キタムラ入社。執行役員 EC事業部長
書店時代、誰もが同じ価格(本代+交通費)で本が買える世の中にしたいと、ネット書店の立ち上げに参画。
その中で、日本の小売においては、リアル店舗を活用したネットサービスが有効であるとわかり、アマゾンからイオンへ。
店舗利用者かつ会員重視のネットスーパーを構築し、グループ全体のネット戦略を追求する中で、よりネットを活用するには商品・接客の高い専門性が必要と感じ、現在のカメラのキタムラに入社。
約1,300の店舗網を活用し、EC関与売上430億円(宅配119億円、店受取311億円)。店舗とネットの更なる融合「人間力EC」を進める。

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