妹尾 榮聖様

今回は、エビスの10月定例会でご講演をいただきました、有限会社 MUSUHI(ムスヒ)代表取締役社長 妹尾榮聖氏にお話をお伺いしました。 定例会の詳細はこちら

有限会社 MUSUHI(ムスヒ)代表取締役社長 妹尾 榮聖様

今回のご講演は「商売から笑売へ、新時代に発展するためにパラダイムシフトを起こせ!」というものでした。 このタイトルから 商売で幸せになるためには思い切った発想の転換が必要だと思うのですが、ショップ運営者として我々はまず最初にどう発想を転換すべきなのか 教えていただけますでしょうか?
妹尾 榮聖氏:
そうですね。

現代の市場環境の中で販売を伸ばしていくには、まず、「どうやって売ろうか?」から、「どんな関係を、どうやって作っていこうか?」という発想に変える必要があるのではないでしょうか。

これまでマーケティングは、どうやって市場シェアを広げていこうと言うことを大きなテーマにしていました。しかし、2004年を境に少子高齢化で日本の人口は減少に転じた。つまり日本の市場は年々小さくなってきていると言うことです。 そんな環境下で、これまでのように市場シェアを広げていくために、そうやって売ろうかと考えてもレッドオーシャンでしんどい戦いをしなければいけないだけなんです。

まぁ、資本が十分にあって、しんどい戦い続けられる体力と覚悟があれるというのなら別ですけどね(笑)

メーカーなら商品に手を加えてブルーオーシャンを作り出すのもできるでしょうが、商品を仕入れて販売しているお店や会社では、それは難しい。そうなると商品プラスの何かで新しい価値を作り出すことが必要になる。
そこで出てくるのがリレーションなんです。

これは一例で、現代社会のマーケティングでリレーションが重要視されるようになったのは、他にもいくつかの理由があります。でも、ざっくり言えば20年前と比べると市場環境がまったく違うものになってきているから、昔ながらの「どうやって売ろうか?」という発想では売れない時代になってきているのです。

フィリップ・コトラーも、従来のマーケティングの概念は「商品を遅滞なく流通させ、販売するための活動全般である」という程度で示されていたけど、現代では「顧客とのつながりを作ること」と「売り手がビジネスをつくるのではなく、顧客にビジネスの機会をもらっている…という意識を持つこと」が重要になってきていると言っているのは、昔とまったく市場環境が変わってきているからなんです。
―なるほど、「商品を買っていただくお客様とどのような関係を気づくのか」と言うのは確かに大切だと思いますね。ありがとうございます。
さて、講演では、商品紹介は極力書かず、自分の近況ばかりを書いて 最後に「あ、忘れてました」と少しだけ商品紹介するのが効果があると教えて頂き、とても驚きました。 ただ、講演を聞いて理性では納得したんですが、本能的に「そんな売込みで大丈夫なのかな?」と思ってしまうところがあります。 もう少し詳しくお伺いできますでしょうか?
妹尾 榮聖氏:
ネットの通販モールで元気なのは、やっぱり楽天市場じゃないですか。ひとつひとつのお店の売上は分かりませんが、楽天市場自体は儲かっていますよね(笑)。

人が何故、楽天市場の中にあるお店で商品を購入するのか?
それは様々なシステム的なメリットなんかも大きな理由だとは思うんですけど、やっぱり一番の理由は楽天市場という信用なんじゃないでしょうか。楽天市場が出展を許しているお店という信用があるから、安心して商品を買えていると思うんですね。


インターネットの登場以降、本当に世の中に情報が溢れました。
一人の人が一日に受け取るマーケティングメッセージ(広告などを含めた売り込み)は2,000を越えると言われています。そんなに多くある情報のほとんどが「うちは良いですよ」「うちから購入してください」と言っているわけです。

全てを信じて購入していたとしたら、自己破産してしまいますよね。
だから、その中から信用できる情報を選ぶようにしたいと考えるのは人として当然のことです。

じゃぁ、あなたが普段の生活の中で、これは信用できると判断する情報って、どんな情報でしょうか?
やっぱり、信用できる人からの情報だと思います。

だから、信用に足る人だという関係を構築してから、最後に少しだけ売込みを書けるわけです。
誰でも自分にどんどん売り込みをしようとする人とは、良い関係を築きたいとは思いませんからね。だから、売り込まない会社やお店ほど、売りやすいくなるんです。これはどの分野でも使えるものだと思いますよ。

例えば、この間もうちの塾生(経営者ばかりを集めたマーケティングの塾)が、衣料品店をやっているんですけど、これまでチラシには商品の写真と短い説明、それから価格だけを入れていた。よくあるスーパーマーケットのチラシと同じようなタイプですね。
それを、チラシの最初の部分に店長の入れストを入れて、季節の挨拶と今回のチラシに掲載した商品を何故選んだのかという理由(提案)を入れたんです。
そうすると反応率は明らかに上がった。
このように売り込みを少なくすることで、販売数を伸ばすことができる時代になっているんですね。

他にも、購入者に感謝の手紙や、広告(商品説明)をまったく含まないチラシの廃部なんかも行なっています。そうやってリレーションを築くと、逆に信用されて、必要性が起こったときに選ばれるようになるんです。面白いですね(笑)。
―「信頼」と言うところに焦点を当てると、何気ない言葉の方が重要になるということですね。良く分かりました。
ところで、講演では今歯科医のコンサルティングを行っていると言うことで歯科医に関する話が多かったのですが、それらの内容は全く異なる商材ジャンルのショップにも通用するのでしょうか?
妹尾 榮聖氏:
もちろんです。
私は学生のころ空手をやってたんですけど、武道の達人の中には書道がうまい人が少なくない。まったく書道の勉強なんかしていないのに、彼らは非凡な書を書くわけです。
これは、武道で道を究めるのと、書道で道を究める方法が同じだってことですよね。

それに、売れる営業マンの中にはモテる人が多い。
お客様を口説くのと、異性を口説く方法も同じなんですね。

このように、一見まったく異なる業界に見えても、結果を出す方法はよく似ているんです。
イチローなんかも、今からプロゴルファーになったとしても、良い成績を出すんじゃないでしょうか(笑)。

皆さんも、異業種でうまく行った方法を真似て、うまく行った経験はありますよね。
それと同じで、歯科医院でうまく行く方法は、商いでもうまく行くんです。というか、そもそも商いでうまく行った方法を、歯科医師にお教えしているというのが、今の私ですからね。元ネタは商いなんですよ。
―ありがとうございます。 最後に、今の厳しい世の中、どうすればいいのか迷っているショップ運営者に、一言お願いいたします。
妹尾 榮聖氏:
う~ん…。
これは一口に答えるのはちょっと難しいですね。

そうそう、SWOT分析と言うものがあるのをご存知ですか?
SWOT分析は、目標を達成するために意思決定をするときの戦略ツールのひとつで、現状を、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) を評価して戦略を組んでいくものです。

でも、何が強みで、何が弱みで、何が機会で、何が脅威なのかは、分析する人によって異なる。つまり人によっては強みだと思っているものを、別の人は弱みだと認識していたり、ある人が機会だと判断しているものを、別の人は脅威だと捕らえていたりするんですね。

確かに現代社会は、楽々という環境ではないと思います。
でもその中で商いをしていく上で、機会もたくさんあるはずなんですね。それを見つけ出すことが大切だと思います。

そうそう。昔、美輪明宏さんが、あるTV番組で「人は不幸の数は数えるけど、幸福の数は数えない」ということを言っていました。私も、コンサル先などと話しをするときは、まず、その会社や医院が持っている強みや、追い風となる機会を時間をかけてじっくりと洗い出します。
そうして、自社がどんなに多くの資源を持っていて、市場にどんなチャンスがあるのかが理解できると、視点が変わってくるんです。厳しい環境にいると思うのと、希望が見える環境にいると思うのではね。

無理やり「プレス発想で考えなけりゃ」と自分に言い聞かせても、前向きに考えることはできません。自分が前向きに考えられる環境をつくることが大切なのではないでしょうか。
○講演タイトル
顧客も自分も笑顔になれる営業方法とは?について

○講師プロフィール
講師 有限会社 MUSUHI (ムスヒ) 代表取締役社長 妹尾榮聖氏

妹尾 榮聖(せのう えいしょう) 1971年生

調理師、営業、整骨院、栄養学の講師、貿易商などの職業を経て、現在、コンサル会社である有限会社MUSUHIと、広告代理店の株式会社 PATIERの2社の代表取締役を務める。
飛び込み営業を皮切りに、テレアポ、ルートセールスと、様々な営業を経験するが、どの会社でもトップレベルの実 績を叩き出す。
その営業ノウハウと、貿易の交渉を通して培った独自の視点で、日本だからこそうまくいく販売マーケティングを構築する。
誰にでも理解でき、誰にでも実践でき、誰でも売上を伸ばせるマーケティングとして、小売業から工務店まで、中小零細企業を中心に幅広い業種のコンサル業務 を行っている。
また、ユニークな分析と、分りやすい切り口でのマーケティングの説明には定評があり、船井総研を始め、全国から 営業と販売に関する法人向けセミナーの講師を務めている。

これまでにコンサルティングしてきた営業や小売の企業は100を超える。セミナーやコンサル業務 を行う傍ら、現場実践主義で、現在も広告代理店で自ら営業を行い、そこで培った経験を、常にセミナーやコンサルにフィードバックし続けている『ウルチカ ラ』マーケッターである。