マミオン有限会社
森 万見子様

2011年2月定例会にて、「ユーザーの視線からサイトを見直す!ECサイトのユーザビリティ向上に向けて」をテーマにお話頂いた、マミオン有限会社 代表取締役の森氏に、今回はebsとして単独インタビューさせていただきました。定例会の詳細はこちら

マミオン有限会社 代表取締役 森 万見子様
―本日はご講演ありがとうございました。
講演の最初で、森さんがユーザビリティを重視するようになった経緯を語っておられましたが、それがとても印象に残りました。まずはそこからもう一度お話していただけますか?
森 万見子氏:
ずいぶん昔、レコメンドエンジンの開発会社で営業をやっていました。
※レコメンドエンジンはamazonにもある「これを買った人はこれがお薦めです」というお薦めシステムのこと

その時には「レコメンドエンジンを入れるとコンバージョンがよくなりますよ」、とお薦めしていました。
その後退社し、縁あってパソコン教室を立ち上げることになりました。その教室でネットショッピングをしたいという方のお手伝いなどをしていたのですが、サイトの作りが原因で、インターネットで買いたいのに注文できない人が多くいることに気付きました。
商品の探し方が解らなかったり、スペックを把握できなかったり、サイト内でユーザーさんが様々なストレスを抱えているのを目の当たりにしました。
そこで、気づいたのです。レコメンドを入れる前に、サイトを使いやすくしなくてはいけない!と。
そこから、インターネットの見方を教えながらユーザーさんの行動を観察し、使いやすいECサイトについて研究してきました。
―ありがとうございます。
消費者がストレスなく商品を購入できるころは、お客さんにとってもいいことですし。店舗も売上が立つので、両者がハッピーになりますよね。そういったことはとても大切だと思います。
さて、その両者がハッピーになるためのユーザビリティー向上について、御社が導入されてる「アイトラッカー」と言う機器。これについて、簡単に解説をいただけますでしょうか?
森 万見子氏:
アイトラッカーとは瞳孔の動きを検知して、どこをどのくらい見たのか知るための機械です。
一見普通のモニターですが、下から赤外線が出てユーザーの瞳孔の動きを検知します。
ゴーグル状のアイトラッカーをご存知の方もいるかと思いますが、モニタータイプのアイトラッカーなのでユーザーは何もつけません。ですので、普段通りにサイトを見て操作をしていただくことができます。
音声や操作をしている人の顔も撮影する事ができます。
―ありがとうございます。講演で見させていただきましたが、あれは本当に凄いですね。利用者がどこを見ているのかモニタで表示されるので、実際に消費者の動向を知ることができます。
ユーザビリティーと言うと、一般論でこうした方が良いという話は聞いたことがあるのですが、このアイトラッカーを使うとどこに目線が行ってどこが問題なのかすぐに分かるので、とても実践的だと思いました。さっきも数人の会員から「凄い」と言う感想が出てましたよ。
さて、このアイトラッカーを使ったテスト。前向きに考えている会員も多いようですが、こういう人にお勧めとか、その辺をご説明いただけますでしょうか
森 万見子氏:
お薦めしたい方は2通りあります。
まず、サイトをよくしたいという意欲はあるけれど問題点が漠然としているという方。それから、サイトのリニューアルを予定している方です。
問題点が漠然としている方は、どうしても、サイトの改善が後回しになりがちです。
サイトを直したいけれども、どこから手をつけていいのか解らない、問題点がはっきりしていないからどうすればいいのか解らないということがよく起こります。
ユーザーテストでウェブサイトの問題点を把握することにより、何をすべきか、なにをしなくていいのかが明解になりますから「とにかく改善しなくちゃいけない」というストレスからは解放されます。
リニューアル前の方にもお薦めです。リニューアルを効率よく行うためには、現状のどのような点が問題なのかを把握することが重要です。
問題点を直視せずにリニューアルを行うと、運営者・制作者の視点でサイトを作り続けてしまいます。
リニューアル前とリニューアル後に1回ずつユーザーテストを行うことをお薦めしています。
―ありがとうございます。最後に、ユーザビリティを考えるに当たって一番重要なことは何か、ずばり教えていただけますでしょうか?
森 万見子氏:
サイトの見え方は作り手とユーザーでは全然違う、ということを認識する事でしょうか。
他人は自分とは考え方も、見ているものも違います。
いくらユーザーの気持ちになっても、どの情報がどこにあるのかを把握している制作側とどこに何があるか解らないユーザー側では見ているものが違います。
“ユーザーの気持ちを考える”のではなく、“ユーザーの行動を知る”ところから始めていく必要があると思います。
また、ユーザーがどんなことを求めていて、そのサイトで何を解決してほしいと思っているのかについてもきちんと向き合って考えていくことがユーザビリティの向上に欠かせません。
―本日はありがとうございました。
○講演タイトル
「ユーザーの視線からサイトを見直す!ECサイトのユーザビリティ向上に向けて」

○講師プロフィール
マミオン有限会社 代表取締役
森 万見子(もり まみこ)

1977年11月山口生まれ

2000年在学中にインターネットショップでウィッグの販売を開始

2001年レコメンデーションエンジン開発会社のシルバーエッグ・テクノロジー入社

2002年東京・目白にてパソコン教室パソカレッジを開業。
中高年がネットショッピングをうまく操作できない現実を目の当たりにし、買いたい人の手助けをしようと決意。

2003年マミオン有限会社として独立。
ユーザビリティ研究所を設立し、中高年がどのような場所で操作に躓くかを調べ、企業に提案。2009年アイトラッカー(視線追跡装置)を購入し、ユーザー視点を可視化することでより深い分析結果の提案が可能になり、ECサイトのためのユーザーテストサービス「見エール」を開始。
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