合資会社じじやのひもの
秋武 政道様

エビスの10月定例会にて、「不況でも売れるブランド力をつけるカンタンな方法」をテーマにお話頂いた、合資会社じじやのひもの 店主 秋武 政道氏に、今回はebsとして単独インタビューさせていただきました。 定例会の詳細はこちら

合資会社じじやのひもの 店主 秋武 政道様
―秋武様、本日はご講演本当にありがとうございました。
ご講演の資料としてお客様への配布物をたくさん頂戴しました。かなりの種類があったのですが、ご講演では「お客様の声」についての内容が多かったですね。早速質問ですが、やはりブランド力を身につけるためにあたり、最初に取り掛かるべきなのは「お客様の声」なのでしょうか?
秋武 政道氏:
ブランド力を身につけるためには、まず「お客様の声」の収集から始めることを強くお勧めいたします。
ブランドというものは、一言でいえば、実際に買ってくださるターゲット層の中に、たくさんのファンを作ることだと思っています。だから、まずは、自社の姿勢を明確にしながら「ファン」になってもらう活動を行わないといけないと思うんですよね。つまり、マーケティングで集客を行いながら、ファン作りをやっていく。そのファン作りに欠かせないのが、買ってくださったお客様とのコミュニケーションです。「お客様の声」を集めるということは、顧客コミュニケーションの第一歩ですから、最も手軽な方法として、ブランドづくりには欠かせないものとなります。
―自分の店を何も知らない人に商品を買ってもらうよりも、既に一度飼ってくれた人のほうが再度購入してもらいやすいとはよく言われますよね。そこから更に進めて「ファン」になってもらえれば、集客に繋がってブランドとなるということですね。
そういえばご講演では、「お客様の声」の集め方についてもおっしゃってましたね。
秋武 政道氏:
たんに「お客様の声」を集めるといっても、わたしの推奨する方法では、依頼文の中に「ミッションを書き込む」「他社との違いを書いてもらう)」など、マーケティングにおいてもブランディングにおいても、明確にすべき要素が組み込まれています。
まず、 「ミッション」を書く作業は、自社のアイデンティティをしっかりと表すためのメッセージを作る作業ですから、これがなければブランドにはなりえないと思うくらいに重要なものです。お客様は、商品と言うより会社や社長の姿勢に共感をします。ここで、すんなりとお客さまに受け入れられるメッセージができれば、ブランドづくりのほぼ80%は、終わったといってもいいくらいに重要なものだと思っています。
もう一つの 「他社との違いを書いてもらう」は、会社や商品の独自のウリ(USP)を見出すためのものです。これは、マーケティング(集客)において、大きな威力を発揮します。お客様の声は、お客様から買い物をしてもらった感想を書いていただくものですが、実は、ここで「何についてください」と書いておかないと、お客様には、書いてほしいことが伝わりません。そしてお客様は、せっかくだからお客様の声を書こうと思っても、どのように書けばいいかわからないということも覚えておいてほしいです。だから、他のお客様の声を近くで見せてあげることで、「ああ、このようなことを買えばいいんだ」と安心して書いてくれることになります。
―なるほど。消費者目線で考えると、ただ漫然と「感想を聞かせてください」と言われるより、断然好感触をもつでしょうし、書くべきことを書いていただけそうですよね。
秋武 政道氏:
そして、お客様の声を集めることで一番ブランディングにとって重要なことがあるんですが・・・ブランディングは、「お客様のマインドシェアの獲得が最終ゴール」であるとか、よくいわれますよね。わたしはそれが一番大事だと思っていまして、わたしたちの個性である「ミッション」は作った。武器である「USP」もできた。あとは、心の交流です。
つまり、わたしたちは、ミッションやUSPに基づいて、いろいろなツールなどで、会社の事業に掛ける想いを表現していきます。つまり、わたしたちの物語です。そうすると、それらのツールをや商品を通じて感じ取った物語を受けて、お客様がその商品を使っての「物語」を返してくれるようになります。
―自分の商品を用いた「物語」…そんなものができるようになれば凄いと思うのですが、具体的にはどのようなものになるんでしょうか
秋武 政道氏:
例えば、「結婚式で、門司港に行ったとき、お土産で干物を買いました。みんなが、大喜びで・・・」というような、その干物を書くことでおこった物語が送られてくるんですね。ここが大切で、お客様のことは、「お客様との物語のやり取り」なんです。
ただお客様と商品とお金の交換作業をするのとは、大きな違いでしょ。そこに物語が介在することで、お客様のマインドシェアが、大きく拡大されることが予測できませんか?
―商品を用いた「物語」の創造が、お客様からマインドシェアを獲得でき、自分の商品の価値向上、ブランド化に繋がって、お客様も自分もハッピーになるわけですね。すばらしいと思います!
秋武 政道氏:
今お客様の声を集めてる方の中にも、「お客様の声は、5~6通あれば、チラシに載せられて反応が上がる」程度の思い出取り組まれれる方がいるかもしれませんが、わたしは、ブランドを作ろうと思うならば、ぜひ継続して「お客様の声」を集められることをおすすめいたします。
―掲載するための回答例がたまったらそれでいい、ではなくて、ブランドの為に、お客様の声を継続してゆくということですね。本日は大変ありがとうございました。
○講演タイトル
「不況でも売れるブランド力をつけるカンタンな方法」

○講師プロフィール
合資会社じじやのひもの 店主
秋武 政道(あきたけ まさみち)

1960年、福岡県北九州市門司区生まれ。干物屋「じじや」社長。
早稲田大学卒業と同時に家業の干物屋に戻り、1年半後に社長を継ぐも、「親の七光のボンボン経営」が災いし、一気に倒産寸前の会社としてしまう。
以来、10年余りに渡って借金地獄に苦しむが、「もう明日にも倒産」という崖っぷちの状況から集め始めた「お客様の声」を活用することで「行列のできる干物屋=じじや」として復活。

現在は、本業の干物屋のかたわら、独自のマーケティング手法を活かした地元での住民主導のまちづくり活動や、「ばなな組」「男組」「門司港ビジネスアカデミー」などの経営勉強会を主宰。

<資格・肩書等>
北九州市にぎわいづくり懇話会 委員
北九州市立大学 非常勤講師
九州国際大学 非常勤講師

<得意なテーマ>
ダイレクト・レスポンス・マーケティング
反応のいいコピーライティング
お客様の声の集め方活かし方ソーシャル・マーケティング、コミュニティ
ビジネスなどの社会的事業まちづくり実践論など

<講師より>
崖っぷちで明日が危ない社長さん向けのコンサルタント・アドバイスを得意する干物屋のおやじです。財務的解決はほかの人に聞いてください。
とにかく売りを強化して金繰り危機を回避する。超実践的な方法を、一緒に考えましょう。
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