神田 昌典様

10周年記念イベントにて、「2012年あなたの『行動シナリオ』が見る見る描ける120分!」をテーマにお話頂いた、経営コンサルタントの神田 昌典氏に、今回はebsとして単独インタビューさせていただきました。 定例会の詳細はこちら

経営コンサルタント 神田 昌典様
―本日はご講演。本当にありがとうございました。
個人的に「全脳思考」、「60分間・企業ダントツ化プロジェクト」、「新版 小予算で優良顧客をつかむ方法」そして「2022-これから10年、活躍できる人の条件」と読ませていただき、とても共感を受けたこともあり、今回のご講演はとても勉強になりました。ありがとうございました。
さっそく質問なんですが、今後の日本の展開として「共感」「社会貢献」そして「コミュニティ」というキーワードをあげておられる一方で、それだけでは利益に繋がらないと身をもって実践されていました。結局はターゲティングなど従来のマーケティング手法を合わせて成果を出されたとのことですが、現時点では「共感」「社会貢献」という今後軸になる方向性に、従来のマーケティング手法を融合して使って行くと成果が出る。という感じでよろしいでしょうか?
神田 昌典氏:
そうですね。まさに融合。新しい概念と古い概念をハイブリッドでやっていくべきだと思います。広告だけに頼るのではなく、コミュニティも活用して、ビジネスモデルをトータルに進めていく時代になったんだと思います。
―今年出版されました「新版 小予算で優良顧客をつかむ方法」ですが、これは「これまでのマーケティングも現時点ではまだ必要」という意味で新たに出版されたという解釈でよろしいのでしょうか?
神田 昌典氏:
いや。違いますね。あの書籍はビジネスを何も知らなかった人が読むと、読みやすくてすごく勉強になります。しかし、何もそこから始める必要はないんです。純粋にビジネスで儲けたいのであれば、講演でも言いましたようにfacebook広告に適したビジネスモデルを作ってしまえば、中学生でも高校生でも簡単にビジネスができます。10年前のマーケティングが必ずしも必要かといわれると、そうではないんですよね。
―ニュアンスとして、過去のビジネスモデルは「知っておいたほうがいい」ですか? 「知らなくてもいい」ですか?
神田 昌典氏:
純粋にビジネスで儲けるだけならば「知らないほうがいい」ですね。金儲けをしたいのであれば、知らないほうが早いと思います。ただ、あの書籍は40代50代の方や出版社の方々は高く評価していただいていますね。
ビジネスの原理原則を知るには、いいです。そして、最終的にはビジネスというのはテクニックではなく、プリンシプル(原理原則)です。
―「2022-これから10年、活躍できる人の条件」は、もっと若い人をだーゲットにした書籍ですよね。神田様の書籍をみると、「もっと若い時に読みたかった」ってつくづく思うんです。「2022」で10代の人向けにメッセージを送られているのを見て、その思いはますます強くなりました。
そこで、本題とは離れた質問をさせてください。神田様のマーケティング理論を教育現場に生かすことについては、どのようにお考えなんでしょうか?
神田 昌典氏:
教育に導入すべきか否か、ということであれば、軽々しく導入すべきではないと思っています。教育という現場において「導入してみてどうなるか」という実験はするべきではないんです。
たとえば「非常識な成功法則」にあった「やりたくないことを書きだす」といったことを、小学校の子供に対してやっていいものかどうかなんてわからない。私がアメリカから取り入れたフォトリーディングというものを子供に試してみたところ、成績は良くなったんですが、それをすべての子供にやってみた時にどうなるかというのは、やはり判らない。そもそも、ビジネスパーソン向けにやっているものを教育で生徒に対してやっていいものかどうか、となると「やるべきではない」と思っているんです。
…ところが、実際には学校の先生方が、全脳思考にしてもフォトリーディングにしてもどんどん始めてていってるんですよね。大人向けの「全脳思考」を、キャリア教育の先生が読んで、中学生に使って見たらすごくいいと。小学校高学年の先生が遠足のプランニングにやって良かったと。高校生が自分の大学の志望に使ってみたら非常にいいと。そんな感じで使い始めてるんです。
フォトリーディングに関しても、「ぐるぐる読書」という形で先生が使い始めた。フォトリーディングではないんですが、チームで何人かで本を読むというソーシャルリーディングの実践として、学校の先生が集まる研究発表会で取り入れられています。そういうことを考えると、こういった思考は急速にノウハウとして教育の現場に入っているのは事実です。
―その現状は神田様にとって望ましくないものと言っていいんでしょうか?
神田 昌典氏:
望ましいことだと思います。矛盾するようですが、「やるべきではない」という原則に立脚しながらも、慎重に「やるべきである」という分野で新しい取組みを行い、その結果を共有していくことが、教育における進化になります。今、情報社会から知識社会に変わりました。20年後の知識社会に備えるための教育が必要なのに、子供たちをどのように準備させたらいいか? という教育は、現時点ではゼロなんです。
そんな中、マインドマップ、フォトリーディング、全脳思考など、思考能力を上げる、知識の相乗効果を生かして新しいものを想像するという方法論というのは役立ちます。なぜなら、知識社会にとって「核」となるものは、知識を創造するためのエンジンであり、思考を引き出すためのツールとなるからです。それを実感されている先生方が実践されているんですよね。
ただ、先ほど言いました「教育で実験を行うことの危うさ」というのはやはり感じます。小さい子供に携帯電話を与えるとおかしくなりかねない。三輪車に乗っている子にオートバイを渡すような感じになってしまうかもしれない。その行為がいいか悪いか、その結果が社会に望まれているかどうかというのを、慎重に見極めながらやっていかなければならないと思うのが僕のスタンスです。
―ありがとうございました。では、次の質問をさせてください。
講演の中で「個人の責任」を自覚するからこそ、「社会からの報酬」が得られると言う話が印象に残りました。ただ、その後に「一人より多数で活動した方がいい。多くの人々を巻き込むようにしましょう」とおっしゃっていました。
個人的にはこれを聞いて、家族などの少人数でやっている店などはどう他人を巻き込めばいいのかなと思ってしまいました。この場合は、自分の理念や思いを語って、自分にとって外の立場である方々から賛同者を増やす、と言う考えでよろしいでしょうか?
神田 昌典氏:
あっていますよ。全ての事業は存在するだけで価値がありますので、少人数・小規模だから他人からの理解が不可能と言う事にはなりません。
方法としては色々あります。例えば職人であれば職人としての思いを伝える。歴史のある商品はその成り立ちを考える。そうする事で、行き着く先が「文化を見直す」とか「教育を支える」という形になったりするんです。
ただ、それを考えるに当たって難しい点は、「自分らしさを表現」できているかどうかと言うこと。自分が何故この仕事をしているのかという根本的な問いかけを考える事で、それが見えてきます。例えば酒屋さんが考えたら、酒を売る事ではなく、酒を通じて地元のお祭などの伝承を守り続ける事になったりします。問いかけの結果、酒を安く提供すると言うのも一つの回答ですが、地元のコミュニティの中で酒を中心とした大きな動きを作りたい、と言うところに行き着く場合もあります。その行き着く先は一人一人、全く違うんです。
要は、事業が大きいか小さいかではなく、個人の責任の自覚を通じて、会社という「場」をつくり、その「場」に集うメンバーの成長、そしてよりよい社会の構築に向けての変容を促すことができるかどうかが大切。会社の規模を大きくすることが目的ではありません。たとえ小さな事業者でも、その理念により、「生活のため」だけでなく、プラスアルファで高い次元で生きる豊かさを表現ができれば良いんです。その部分が「誇り」と言うものに関連してきますからね。金稼ぎだけではなく、仕事に「誇り」を持つ事で、子供たち、社会全体に伝わるかどうかと言う事が非常に重要だと思います。
―ありがとうございます。
最後の質問ですが、神田様のご講演からは「同業他社をライバルと考える」と言う発想はなく、みんなで良い世界を作り上げる、という感じを受けます。僕個人としても同業者を陥れると言う発想は古いと思っています。
しかし、先ほどおっしゃった理念や思いを語ろうとした時に、その考えが特殊であった場合、同業者にとってにとって「批判された」「攻撃された」と感じてしまうかもしれない、と危惧する事があります。このような場合、どうしたらいいのでしょうか?
神田 昌典氏:
単純に表現の問題ですね。例えば「ストーリー」は人を傷つけません。自分こそが正しい、だから買いなさい、と言う表現では反発を買います。しかし、この商品のこんな部分が大好きなんだとか、自分の仕事はこうだからやりがいを持っています、もっとみんなに素晴らしさを伝えたいんです、という表現をしてみましょう。すると、そうだよね、素晴らしいよね、と言うことになって、否定する人なんかいません。そういう表現を心がけてください。
気をつけないといけないのは、文章の行間にも批判的と感じるような表現を行わない事。はっきりと書いてなくても、読んでいくうちに「この人は『本来は高い価値なのに安く売っている人がいる』って怒ってるな」と感じてしまう表現であればやはり読んでいて面白くない人が出てきますし、その結果が自分に跳ね返ってきます。
ゲリラでやる時はそれで良いんですけど、ゲリラを超えてしまうとそれは上手くいかず、伸び悩みます。それよりも、業界全体や、その先にある自分の事業と関連する「何か」も含めて良くなるようにしたい、と言う思いを伝え手行く事が、コミュニティの形成に繋がると思います。
―インタビューをさせていただいた事で、神田様のご講演の言わんとすることが一段と理解できるような気がしてきました。
本日は本当にありがとうございました。
○講演タイトル
「2012年あなたの『行動シナリオ』が見る見る描ける120分!」

○講師プロフィール
経営コンサルタント
神田 昌典(かんだ まさのり)
株式会社ALMACREATIONS代表取締役
著者、経営コンサルタント
上智大学外国語学部卒。大学3年次に外交官試験合格。
大学4年次より、外務省経済局に勤務。ニューヨーク大学経済学修士(MA)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得。
その後、米国家電メーカー日本代表を経て、経営コンサルタントに。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合誌では「日本一のマーケッター」として紹介されているほか、ビジネス書、小説、翻訳書の執筆に加え、ミュージカル、テレビ番組企画など、多岐にわたる創作活動を行う。マインドマップR、フォトリーディング、ダイレクトマーケティングを日本に普及させたことでも著名。
現在、株式会社ALMACREATIONS代表取締役を務める。

主な著書に、最新著書『2022-これから10年、活躍できる人の条件』(PHPビジネス新書)『全脳思考』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『あなたの悩みが世界を救う!』(ダイヤモンド社)『成功者の告白』『人生の旋律』(講談社)『非常識な成功法則』(フォレスト出版)
翻訳・監訳書に『ザ・マインドマップ』『最後期まであと2年!次なる大恐慌』(ダイヤモンド社)『あなたもいままでの10倍早く本が読める』(フォレスト出版)『お金のシークレット』(三笠書房)など、ベストセラー多数。